農業所得と消費税
農業所得と消費税

農業所得と消費税

 

消費税の納税義務がある場合

消費税は各段階の取引に課税されます。事業者は、各段階で農産物などを提供し、消費税の納税義務があるならば、お客さんから預った消費税を申告、納税しなければなりません。(課税事業者といいます)

しかし、事業者が一定条件を満たす場合、消費税の納税義務が免除されるようになっています(免税事業者といいます)

 

        納税義務の判定

                基準期間の課税売上―――1000万円以下 納税義務無し

                               ―――1000万円超  納税義務有り       

                    (基準期間:前々年(法人の場合は前々期))

 
免税事業者、課税事業者の選択

納税義務が無い場合でも、免税事業者か、課税事業者かは、事業者で選択出来ます。(しかし、1度選択した場合は2年間変更できませんので注意が必要です)

 

 

必要経費と課税仕入高との関係

課税仕入とは課税売上から控除される仕入金額のことです。
課税仕入は、通常の仕入の他、消費税の支払いを伴う経費や資産の購入も含まれます。

 

 農家の場合、肥料や種苗、農薬といった通常の仕入となる場合だけでなく、農業用機械や自動車、ハウス、建物なども含まれます。さらに、それらの修理代や燃料代、光熱費など、生産に関わるほぼ全てのものが含まれるといえます。

場合によっては、その年の課税売上高より課税仕入高が大きくなる場合があり、その時は還付を受けることが出来ます。

 

免税事業者の注意点

・免税事業者は、消費税を納める義務が無くなります。逆に課税仕入高が大きくなった場合、還付を受ける権利も無くなってしまいますので注意が必要です。

先々に大きな資産の購入が見込まれている場合(課税仕入高が多くなる場合)には、課税事業者となることを選択していた方が良い場合もあります。

・消費税は、原則、一括納税となる為、いざ支払となったときに資金不足で支払えないことも起こりえますので、資金を前もって確保しておく必要があります。

・免税事業者に戻る場合や簡易課税方式をやめようとするときなど、経営状況の変化に応じて、期限までに各種手続きを行う必要があります。

 

 

 

農業収入と課税売上高との関係

課税売上高とは、消費税が課税される範囲の売上高のことです。農家の場合、主な課税売上としては、農畜産物の販売収入や、家事消費額、農作業用機械の貸付料なども課税売上となります。

国や都道府県からの補助金や助成金などがありますが、これらは消費税のかかる売上高とはなりません。

 

 

簡易課税制度

消費税が導入された事業者にとっては、事務処理が今までより煩雑になり、またコストの負担も生じることになります。そこで、売上に係る消費税の一定割合(みなし仕入率)を仕入に係る消費税とみなすことにより、売上金額だけで納税額を計算する方法です。この制度を簡易課税制度と言います。

 簡易課税の適用条件

・   基準期間における課税売上高が5千万以下であること。

・   「簡易課税制度選択届書」の適用を受けようとする課税期間の前日(前課税期間以前)まで提出する。

 

計算方法

       売上消費税 × みなし仕入率

 

みなし仕入率

区分

業種

みなし仕入率

第1種事業

卸売業

90%

第2種事業

小売業

80%

第3種事業

製造業等

70%

第4種事業

飲食店行、その他

60%

第5種事業

金融業及び保険業・運輸・通信サービス業

50%

第6種事業

不動産業

40%

 

事業区分

第一種事業・・・他の事業者から購入した商品について他の事業者に販売する事業。

第二種事業・・・他の事業者から購入した商品について消費者へ販売する事業。

第三種事業・・・農業・林業・漁業・鉱業、建設業(材料仕入を行わない下請け業者は除く)、製造業、電気業・ガス業・熱供給業・水道業等。

第四種事業・・・第一種事業から第三種事業、および第五種事業・

第六種事業以外の事業。飲食店業など。

第五種事業・・・運輸通信業、金融・保険業、

サ−ビス業など(飲食店業を除く:第四種事業)。

第六種事業・・・不動産業(建て売り住宅の販売は除く:第三種事業)

 

 

届書の提出

簡易課税制度を選択する場合は、簡易課税制度の適用を受けようとする課税期間が始まる前日(個人事業者の場合は12月31日)までに、「消費税簡易課税制度選択届出書」を所轄の税務署に提出する必要があります。









   

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